研修を構築する上で、研修を依頼してこられた方とのコミュニケーションはとても大事です。
研修依頼者はオーナーであるため、この方を満足させることは必須条件です。
ただし、要望を鵜呑みしてはいけません。
なぜ、依頼者の要望を鵜呑みにしてはいけないのか?
その理由を説明していきます。
目次
お互いが不幸になる2つのケース
研修は受講者の課題を解決するため行われるものです。
研修テーマが、受講者の課題を解決する物でなかった場合、受講者の能力は向上せず、遠回りをさせてしまいます。
こうなると、受講者も研修依頼者も不幸です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
2つのことが考えられます。
ケース1 依頼者の見立てが間違っている
セールスの研修であれば、依頼者から
当社の営業は・・・
① 電話アポイントが取れずに、心が折れるのでメンタルを鍛えてほしい
② クロージング力が弱いので、クロージングテクニックを教えてほしい
といった、要望がよくあります。
しかし実際にセールスの方に会うと、原因が別のところにあるケースがしばしばあるのです。
① テレアポのスクリプトがなく、それぞれのやり方でアポイントを取得していた。
→原因はメンタルではなく、スクリプト制作の必要性の理解とスキルアップが課題である。
② クロージングの前段ステップである、ニーズ確認でお客様の本当の欲求を見つけ出せていなかった。
→原因はクロージングテクニックではなく、ニーズ確認やヒアリング方法に課題がある。
すなわち、研修依頼者が営業に行うべきトレーニングニーズを分析しきれておらず、
少しずれた研修テーマで依頼がきているというケースです。
ケース2 研修目的が受講者の課題解決ではない
研修を実施するという事実が大事で、効果は二の次というケースもあります。
トップダウンで物事が決まる企業ではよくあることです。
研修依頼者も研修テーマに疑問を感じていますが、何らかの圧力により言われた通りに実施せざるを得ません。
受講者の不幸を防ぐには
研修依頼者に、研修の真の目的が受講者の課題解決であることを再確認してもらい、そのうえで受講者の実情を調査する必要があります。
これをトレーニングニーズの分析と呼びます。
もし受講者の抱えている課題と研修テーマが、マッチしていないようであれば、研修依頼者に対して正直に意見をお伝えしましょう。
ゴルフで飛距離を伸ばしたいという真の目的があり、トレーニングニーズを分析したところ
どうやらスイングに課題があるとわかりました。
しかし、依頼者からは「筋力トレーニングをしてほしい」と言われています。
この場合は、一度議論をすべきだということです。
受講者の実情調査
受講者のトレーニングニーズ発見は、KSA方式で分析します。
KSAとは、Knowledge(知識)、Skill(スキル)、Attitude(姿勢)の頭文字です。
たとえば、電話アポイントの心構えを教えてほしいという依頼は、Attitudeに紐づくものですが、
実情を調べるとSkillが足りていないということが確認できます。
前回、伝わりやすい構成にするにはKSAで分解するというお話をしました。
KSA方式は、受講者の実情を調査し、トレーニングニーズがどこにあるのかを
分析するにあたっても活躍するのです。
まとめ
今回は研修依頼者の要望が、必ずしも受講者のトレーニングニーズと一致しない2つのケースをみてきました。
受講者が最短距離で能力を高めるためには、研修の中身を良くするだけでなく、
研修テーマがトレーニングニーズと一致しているのかを測る姿勢が必要です。
そのために、
✅ 研修依頼者の要望を鵜呑みにせず、本当の目的を聞き出す
✅ 受講者の実情を調査するためにKSA方式で分析を行う
という点を心がけると、研修依頼者も受講者も不幸になりません。
研修構築の際の参考になれば幸いです。
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